ChoCo vol.4 防犯特集 河合成樹×ママレポーター インタビュー【完全版】

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ChoCo vol.4が発刊されました!

子どもを守る 未来の子どもも守る!
というテーマで
株式会社Moly CEOの河合成樹さんにインタビューしました♩

取材内容があまりにも面白く、ママ達にとって役に立つ内容だったので
ChoCoの誌面におさまらない部分を【完全版】としてこちらに掲載します♡

▼ママレポーター 瀬川と高橋 ×    Moly 河合さん

瀬川:(以下 瀬)
この記事を書きたいと思ったきっかけは、小2女児の線路遺棄事件です。ちょうどうちの娘が同じ2年生で、学童保育を辞めようかという時で。いくら防犯ブザーを持たせても、いかのおすしを教えても、子どもを守れないって思ったんです。それで事件を調べると、加害者は仕事も無欠勤のまじめな青年、幼少期は活発で明るかったと。どうやったら子どもを守れるのか、と同時に、加害者はどこで犯罪を犯すような人間になってしまったのか、と疑問を抱きました。
いかのおすし、のほかに、子どもを守るためにできる声かけはあるんでしょうか。

河合:(以下 河)
うちの息子も小学生で、うちは世田谷なので、携帯電話は普通に持たせているんですよ。野々市はけっこう厳しいじゃないですか。うちは学校に申請すればOKなので。今下校したな、とかは情報で来る。登校は20分なのに、下校はみちくさして50分かかっていた、とかも。

瀬:
わかります。男の子はどこでも行っちゃいますよね。子どもに携帯電話を持たせるっていうもの手段と。

河:

手としていくつかあると思うんですよね。啓蒙するのはまず、第一段階だと思う。具体的に見守る手段を作るっているのは、もう一つ大事なところで、家庭ができることとしては3つあると思っています。まずは、家庭でのコミュニケーション。次に携帯とか最近だとGPSツールなどの見守りサービスの利用。3番目が、地域の人と一緒に活動することです。下校と登校の時間、通学路に年配の方や保護者が立っていて、その時間は地域の人が通学路を守る。

瀬:
うちの地域でも保護者や年配の方々が、見守りをしてくれています。

河:
人が立っているってわかっていると、加害者にとってはかなり抑止になるんですよ。町全体がそれをやれば、領域が押し出してくる感じになる。そうするとだんだん減ってくる。

瀬:
学校から不審者情報がメールで来るじゃないですか。息子が入学してから、どんな情報が来たか洗い出してみたのですが、声をかけられたとか、写真を撮られたとか、車に乗るよう誘われたとかが多くて、それ以後の情報はないのですが、声掛けや誘いの後ってやはり、わいせつとかいたずらとかにつながるのでしょうか。

河:
可能性はすごい高いですよね。まあ、誘拐の可能性もあるかもしれないですけど、ただ結末としてやっぱりよくない結末になるパターンが多い。ただ、学校から配信されても、警察が把握しているのはその一部だったり、実は事件ではないような、例えば近所のおじさんが植木のはさみを持っていただけだったとか。

高橋:(以下 高)
暑い日に住民の方が、食べ物を子どもに配っていることがありました。それが不審者じゃないかと問題になった。

瀬:うちの地域でもありました。

河:
そして怖いのは、校下外のことはわからないんですよね。野々市市は近隣の情報はメールが来ますけど。

瀬:
そういう不審者メールが学校から届いたとき、河合さんだったら息子さんにどんな声掛けをしますか。

河:
基本的には、逃げろですね。それ以外は実際何もできない。戦っても子どもは無理じゃないですか。とにかく彼らにあるのは、すばしっこさと細かいところ狭いところを抜けられることなので、逃げられる可能性が高いですから。ただ、突然のことに出会うことがある、写真を撮られるとか。

瀬:意外と多いんですよね。なんで、なんのために子どもの写真を撮るんですか。

河:
なんのためなのかは、よくわかんないです。ポルノ利用なのか、単にかわいいと思って、性愛じゃなく小さくて未完成なものを愛でる気持ちという可能性もある。

瀬:かわいい子犬がいたら撮るような。

河:
そうそう。それを全部が全部違うっていうと僕らもそこは難しくて。僕らも活動しながら手探りを続けていって、そこでそこから先は何かやったら絶対アウトっていうメッセージを届けていくようにしていくことかなと思います。子どもがいる人でも、いきなりそういうこと起こしたりするんで。独身で、学生で、オタクで、みたいなクラスターで考えるよりは、いたるところにそういう人はいる可能性は捨てない。いいパパだった人が、ある日突然犯罪者になってしまうってこともあるということですね。

瀬:誰でも、ですね。

河:
お酒を飲みすぎて訳が分からなくなったとか、事業がダメになってやけっぱちになって、よく最近はこういうのを拡大型自殺っていうんですけど、やけっぱちになって事件を起こす人がいるんですよ。新幹線でガソリンをまいた事件とか、秋葉原の事件もそうです。人を巻き込んでテロみたいなことをやって、自分と同じくらいみんなを破滅させよう、と。

瀬:それも、誰でも起こりうる、と。

河:
会社を起業している人だけじゃなくて、いきなりお前は明日からクビって言われたら、それまで善良だった人が急に変わる可能性があるので。でもそんなこと言っていたらキリないじゃないですか。

高:誰も信じられなくなってしまう。

川崎:(以下 川)女性でやけを起こしてそういう事件を起こした人っているんですか。

高:うん、男性が多いイメージ。

河:僕らもほとんど聞いたことないですね。男性が圧倒的に多いですね。

川:男性の方が追い込まれやすいのかな。

河:
男性の方が追い込まれる立場にいやすい可能性はあるのかもしれないですね、割合として。

いろんな人がいますからね、難しいですね。僕らも一個も答えはないんですよ。ただわかっているのは、自分の中に誰しもが、男女問わず例えば性犯罪、窃盗、暴力性とか、どういう犯罪に発展するかわかんないけど、その根みたいなレベルがあるんです。人によって、言い方は悪いけど、泥棒しやすそうな人とか、暴力的なことに訴えやすい人とか、性質に関係したり、教育環境に依存していて、次の犯罪につながっていったりする。生まれつきじゃないんですよ。じゃあどういう教育がいいのかって言われたら、まだ答えはないと思うんです。悪いことをするなという道徳の教育は大事だと思うんですけど。
この前、高校生に授業したんですけど、なんで犯罪ってしたらダメなんってなるんですよ。人生最後にやりたいことは何って言ったら、犯罪しまくるって言っていて、なぜかっと言ったら、好きなことをやってるのが一番楽しいからって。でも、そういう状況になったらそういう人もたくさん出てくるんだろうなって。それを表に出すか出さないかって話であって、世界最後の日に何をしますかって、映画とかでもあるじゃないですか。死ぬまで食べ続ける人もいれば、好きな人と逃げるって人もいたり、そういう悪いことをしようとする人もいる。その瞬間になにをするか。

瀬:それが根、根っこ。

河:そこを導くことは不可能なんで、話していかないといけないですね。

高:本能みたいなものですかね。

河:
人は、仕方ないけど、仕方ないからこそ頑張ろうねってことだと思うんですよ。観念的な話なんですけど、僕はこういう事業やってるから余計そう思うんですよね。人って迷ったりとか失敗したりとか、すごい正しい道をずっと進んで生きていくって不可能だと思うんです。僕も根っからまじめなわけではない。さぼれる状況ならさぼりたい(笑)。
でも忙しい状況に自分を置いて、そうならないように会社に行くみたいな、バランスの中で生きている。正しいことだけを求めすぎると絶対闇が生まれる。
街灯の研究も今やっているんですけど、街灯をすごく明るくすると、逆にその周りが暗くなって、闇だまりができすぎて犯罪者が隠れる余地ができる。光が明るすぎても、それって実は安全ではないんです。ある程度の余裕みたいなものは必要。ダメ、ダメ、ばかりはあまりよくない。

瀬:それは家庭の教育にもありますよね。正しいことを求めすぎないっていうのは。

河:闇を見てなかったら、たぶん簡単に闇に踏み込むと思うんです。

高:10円のガムを盗んできたときにどうするかですね。

河:
それ、親の力量を問われるところですね。そうなったらどうしようかと思いますけどね。
それも正解はない。難しい。ただ思うのは、全部を正しいところで闇に目を背けさせたら、ろくなことにならない。ルールの中でちょっと逸脱することの体験はいいと思う。本当に黒いところに入っちゃうのはダメだけど、グレイのところを体験させるのは大人になって役立つこともある。
よくあるのは、何の法律にも抵触してないけど、なんかダメそうってことはやらない。でもそこにチャンスがあることがある。Airbnbとか、ソーシャルゲームとかもそうですね。規制がないところをやって、日本人は結構はまりましたから。規制をしすぎても、光の中に閉じ込めちゃう感じがすごいある。その子たちが大人になった時に、そこに今の話の主題は尽きるかなと思ってて。

瀬:そのグレイを作ってあげるってことですね。

河:
ちょっと大人の階段上ってみて、悪い先輩に悪いこと教えられても、まったく知らないで大人になるよりは、絶対悪を許さず、みたいなことにはならない。
例えば元犯罪加害者であっても、誰かがちゃんと受け入れてあげて、有能な人間でちゃんと使ってあげれば、次に悪いことはしないと思うんですよね。もちろん再犯の問題もあるけど、再犯をする理由って結局社会から疎外されている人たち。社会的な制裁を受けてしまうと、社会に戻ってこられない。その問題は結構あって、そんな人たちを誰かがケアしてサポートしていって、うまく使っていけばもっといい。本人が元当事者なんだから、要はそういうものを対処する当事者であるべきじゃないかなって。

高:適任ですね、そういう人たち。

瀬:役割を与えたり、なにか世の人の役にたてるっていうのはいいですね。

河:
ただ今怖いのは、インターネットは全部残るんです。デジタルタトゥーっていうんですけど、永遠に残るんですよね。YouTubeで変なことをするのもそうだし。いつまで経っても検索したら名前も出てくる。3年ほど前ならまだしも、10年前のこともずっと残っている。今はまっとうに仕事して普通に生きていても、社会がそれを許さないんですよ。よくあるじゃないですか、悪いことをしたらみんなで叩くみたいな。

瀬:
テレビでも犯罪が映像として繰り返し流れて、コメンテーターがみんなで叩いているのを見ます。

河:
1回の過ちに対しての社会の許容が、全然なくなっちゃってる。今、犯罪がひどくなってるんじゃないかって世間が思うのは同じ理由で、メディアが発達しすぎて、動画とかすごい情報量で届く、しかも何回も。

瀬:何度も見ると、本当にひどい人ってなりますよね。

河:
社会があまりにも許さな過ぎているのをすごい感じます。テレビで悪いことを言っている人たちって、そういうこともすごく感じてるんじゃないかな。生きづらいというか。正しいことだけ言わないと、何を言っても死ねとかアホとか、人格も否定されて、それは加害者とか、教育にもはびこっていると思う。間違いなくインターネットメディアの発達のせいですね。

瀬:どうなっていくんですかね、これから。

河:
むしろ情報量は強烈になっていくと言われている。例えば30秒の動画って文字数に置き換えると、だいたい200万字くらいの情報量なんですよ。背景や登場人物や全てを文字であらわそうとすると、すごい情報量。今まではテレビ局などがやっていたことが今は民主化されて、動く情報をみんなが手に入れられるようになった。それはすごい影響を与えている。

瀬:
犯罪に巻き込まれやすいとか、被害にあいやすいような子の特徴があれば、教えていただきたいです。

河:
被害にあう子の特徴は、目立たない子っていうのはよく言われますが、そこに対して科学的な裏付けがあるという情報はないんです。ただ、何をしている子っていうのはあります。まずは、油断している人。犯人は相手が油断していたら襲う確率はあります。愛知県警が調査したところによると、路上での犯罪で、犯人が犯罪をとどまった理由の50%は、本人が警戒した、です。相手が自分のことを認識しているという状態。それがすごく大事です。警戒している人は、逃げられたら面倒だし、顔を見られていたら通報されるかもしれないし、やる側にとってリスクが高まるわけです。きょろきょろしたり、周りに歩いている人をちゃんと認識して歩いたり、そういう行動をとることは大事。もう一つの条件がそろうと90%にあがります。その40%は、他の人がそこにいた、です。要は他人の目がそこにある。渋谷のど真ん中で誰かを襲ったとか、そういうことは起きなくて、人気のないところとか、人気のあるところからないところに移動した瞬間、そういうところを見てるんですよね。子どもも同じで、新潟の事件も一人になったほんのわずかの距離ですよね。そこに誰かがいたら、だいぶ変わってくる。

高:学校でも、誰かと一緒に帰りましょうって言うのは正解ですね。

河:
正解です。なるべく一人の距離を減らす。誰かが見ているというのは、かなり抑止力になる。これは大人も子供もまったく一緒です。

高:
自己肯定感と加害者の犯罪の関係って気になるのですけど、そうじゃないってわかりました。

河:
よくあるのは、運がいいと思っている人は犯罪を起こしやすいんですよ。自分は捕まらないと思っているから。逆に言うと、僕なんてって思っている人、自己肯定感が低い人は犯罪性向は極端に低いですね。良い方にふれる場合と悪い方にふれる場合とあると思うんですけど。僕らも闇の方に行った人たちの話をずっと聞いているわけでもないし、加害者の話も聞きに行ったりしています。

高:
性犯罪とかじゃなくて、突然ぶちって切れて殺人を犯すような場合は、自己肯定感が関係して、自分を認めて欲しい裏返しなのかなって思ってたんですけど。

河:
一概には言えないと思います。本当に衝動的なテロ的な行為っていうのは、ほんの一部だと思っていて、実際ほとんどは何度もためらった挙句の犯行。最初の壁はすごく高くて、やろうと思って街に出てあきらめて、というのを何度か繰り返していくうちに、たまたま条件とタイミングが整って。今だ、というチャンスが訪れてしまう。その時にその壁を乗り越えてくる。一回乗り越えたらその壁は一気に下がって、次からひょいひょい超えてくるのが再犯者の傾向。何回も繰り返すんです、捕まるまで同じようなエリアで。特に性犯罪は近接反復が多いって言って、そのエリア、ひったくりもそうなんですけど、決まった場所に分布するんですね。
突発的な拡大的自殺はなかなか変えられないけど、普通の犯罪は減らせると思うんですよ。
痴漢のような犯罪は、病気的気質があったりするので、特に性犯罪に対しては、最近は病気と治療というスタンスに切り替わってきている。

河:
社会、地域がちゃんと動かないといけないですね。結婚して子供ができて定住すると、急に地域にコミットメントを求める。それまではあまり関心がなかったり、どうでもいいと思っている人もいる。そこが難しいですね。コミュニティを作れば犯罪も減りますよ、とよく地域の人に話をするんですけど、なんでそのためだけにやらなきゃいけないの、なぜ私がやらなきゃいけないの、警察がやらないのと。昔から地域の治安はコミュニティがやってきたんですよ、大事な仕事なんですよと話すけど、みなさんの中にそういう意識はない。核家族で切れているので、親代々の土地ではなかったり。そしたらそこに住んでいた人だけでやる、そしたら新しく来た人は疎外感もあるし、そういった意味ではママは核になると思う。横とのつながりをパッと作れるじゃないですか。男性はダメなんですよ、僕も地域の参加しているけど、パパは少ない。男性の参画は大事なんじゃないかと思う。そこもコミュニケーションしたほうが良いんじゃないかと思いますね。働き方改革で、世の中が男女ともちゃんと適切に休んだり仕事の配分を考えて、自分の生活に対してもコミュニティを持たないといけないのに、逆にさらに働こうとする。なるべくなら、子どもの行事とかは参加したらいいと思う。

高:最後に、冊子のタイトルにちなんで、河合さんにとってちょこっとした幸せは?

河:
アップルウォッチの待ち受けを全部娘の画像にしていて、時計を見るたびにかわいいな〜って思うことがめっちゃ幸せです。今考えているのは、誰しもが悪いことをしようとしたときに、その人にとってそれを抑止してくれる人の顔が見えたりすると、思いとどまるんじゃないかと思うんです。

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